14週:ネウボラ検診②と妊娠中の風邪

出生前検査も終わり、ネウボラでの2回目の検診に行ったのは14週も終わりかけている時だった。
初回検診からひと月以上経っているので、またそんなに長い間放置されることに多少不安を覚えてもいたけど、ラボでの検査やエコー検査、それからインフルエンザの予防接種などをバタバタと受けていたので、あまりじっくり考えている暇もなかった。

インフルエンザの予防接種は、毎月一度、ネウボラで行なっていて、妊婦は無償で受けられるという。
妊娠中は免疫力が落ちると言われているし、ちょうど真冬でインフルエンザが流行っていたのでこれは本当にありがたかった。

しかしそこまで予防していたのに、つわりがほぼ終わり、やっと元気に食べられるようになった頃に私は見事に風邪を引いた。
検診でネウボラや病院に出向きいつもより菌に触れるようになったのが原因だと思うけど、妊娠してから風邪を引くのはこれが2回目。しかも結構しつこい風邪で、熱の後、咳が3週間ほど止まらず夜に自分の咳き込みで目が覚める、もしくは食後に咳き込みすぎて吐くという嫌な症状が続いていた。
そもそも日本にいた時から、私は風邪で高熱を出すとそのあと気管支炎や軽い肺炎になりやすかったのだ。
あまりにも眠れないのでネウボラへ行くついでに同じビルにある保険センターに予約を取り、診察してもらうことになった。

ちなみに私は、2年にも満たないフィンランド生活で既に保健センターが嫌いになっていた。
以前口唇ヘルペスが出た際処方箋をもらいに行った時に、症状が軽いからと医師ではなく看護師の診察予約を取られた。これはよくあることでまあいい。必要以上に医師を使わない工夫も必要なのだろう。
しかし実際に看護師に会うと「なんでわざわざ来たの?」とばかりの態度を取られ「処方箋なくても薬は買えるし、そもそもヘルペスは何もしなくても、顔中に感染が広がるとかじゃない限りほっときゃ治る」と言われてしまった。
そもそも私がわざわざ予約を取ってまで出向いたのは、薬局に夫が確認したところ処方箋ありの方が薬代が安くなると言われたからなのだけれど、それを告げると、挙げ句の果てには「でも処方箋を出すには医師の診察が必要でその場合20ユーロほどかかるので却って高くつく」と大嘘をつかれた。
ヘルシンキの保健センターは診察代金無料である。その前にも何度か利用していた私はもちろんその事実を知っていたし「今まで払ったこともない」と反論したのだが、「請求書は後から家にくる」だのと言われ結局私は手ぶらで追い返された。もちろん処方箋もない。
その後、ヘルペスの薬代に関しては処方箋がなくても値段は変わらないと判明したので薬局で普通に塗り薬を買ったのだけれど、診察代に関してだけは何度調べても、夫に聞いても、やはりヘルシンキはタダである。保健センターの受付に電話して確認までしてもらったが、事実は変わらない。そんなガイジンの私でも知っている事実を看護師(しかも若くもない)が勘違いして平気で告げることに、私は彼らのプロ意識を疑わざるを得なかった。なんで来たの、という態度も私を萎えさせた。

というわけで妊娠中に咳が3週間続いて眠れなくても私はできるだけ保健センターには行かないように努めていたのだけれど、夫が私以上に心配するので仕方なく予約を取った。妊婦にも安心な咳止めの薬か睡眠導入剤ぐらいは処方してもらえるだろうと思っていた。
しかし予約の電話をして確保してもらったのは口唇ヘルペスの時と同じ看護師の診察枠のみで、症状を訴えてもやはり「なんで来たの」と開口一番に聞かれてしまう。
ただしこの時の看護師は前回と違って丁寧で、いつも気管支炎になるのでと告げると医師を電話で呼んでくれ、私は簡単な診察を受けることができた。
まあそれでも結果は変わらず、「咳は通常4週間ぐらい続くから様子をみて、抗生物質は出したところでなんの助けにもならないから。咳したところでお腹の子に別に害はないし」と言われ、私はやはり手ぶらで帰ることになったのだけれど。
日本の病院が薬を出しすぎなのは承知している。しかし咳が4週間続くのが普通というのは聞いたことがない。
というかフィンランドでは風邪を引いたり健康に害があったらすぐに休める。医師に病欠証明書を出してもらいさえすれば、日本のように有給休暇を工面することもなく、給料を削られることもなく休めるのだ。なので咳が辛ければ休めばいいというのがきっと看護師や医師の言い分で、更に働いていない私は病欠証明書もいらないのだろうからなんで来たの勝手に寝てれば、という態度に繋がるのだろう。

長くなったが、そんな前置きの後にネウボラ診察があった。
診察前に自分で済ますことになっている体重、尿蛋白、血圧のチェックを行い、担当のネウボラおばさんに会う。
まずは宿題であった精神状態チェックのアンケート用紙のようなものを提出した。これは「自分の精神は健康的だ」「パートナーとなんでも話し合える」「妊娠中は精神が不安定になるのは知っている」などの質問に1から4までの点数で答えるという簡単なもので、提出しただけでさらっと終わった。
それから胎児の心拍確認。ここでそれができるとは知らず、それなら妊娠確定かどうかわからなかった初回訪問の時にしてくれればよかったのに!と思ったが、ビョコビョコ鳴る子供の心音を聞いてるとうちにどうでもよくなった。今日もどうやら何者かが腹の中で生きてるらしい。
あとは母乳についての簡単なレクチャーもあった。母乳がいかに子供にとって大事で、というこれから親になっていく者からしたらちょっとプレッシャーのかかる話で、ウェブ上にある母乳に関する資料も「これ目通しといてね」と案内された。もちろんフィンランド語で書かれているので、私にとっては読むだけで試練である。少なくとも辞書が必要だ。
しかも母乳なんて産んだ後の話、他にも実際産む時の話とか妊娠中の注意事項とかそういう指導が入るものだと思っていたが、何もなかった。最後に17週目の医師診察と次回の予約(それも2ヶ月後)を取って終わり。2度目のネウボラ訪問はあっさりと終わって拍子抜けしたのを覚えている。
子供の生存確認はその間どうするんだ、とまたもや妊婦初心者は不安になったけれど、これも心配いらなかった。何故なら次のネウボラ診察の前に胎動が始まったからだ。ネウボラのスケジュールも妊婦の体も本当によくできている。

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