ベルリンがヘルシンキより寒かった件

先月ベルリンに行ってきました。
ベルリンに行くのはこれで2回目。1度目は日本からの欧州ぐるっと旅行で、イギリス、フランス、ドイツ、なぜかリトアニア、そしてヘルシンキと2週間弱で強行旅行した5年ほど前に、ベルリン動物園やらなんやら回ったときでした。あの頃はまさか自分が将来その旅行地ヘルシンキに住むことになるとは思ってもなかったなぁ。
ところでベルリン。初めて行ったときは街はグラフィティだらけ、天気もどんより曇りでなんとなく汚いイメージしか持っていなかったのですが、今回フィンランドから行くといろいろ発見があって面白かったです。
ちなみに今年6月にもドイツ国内を2週間ほど「車を買いに」旅しまくるという変な旅行をしたばりなので、その辺の体験も交えて書きます。

・物価が安い!
 コーヒーや紅茶はカフェでも2ユーロ以下がほとんど、だいたい1.3ユーロぐらい。ケーキも1ユーロ台がほとんどというパラダイス。フィンランドだとコーヒーは3ユーロから、ケーキ類は5ユーロから…と比較すると悲しくなってくる。体調悪かったから何も甘いもの食べられなかったけど同じEUでこうも違うのかと。
 ちなみに人気のカフェでのブランチバフェは10ユーロでした。フィンランドのブランチ相場は28〜35ユーロぐらい?話になりません。

・喫煙者多い!
 夏に来たときも思ったけど路上喫煙者率多し。更にベビーカーに乗った子供を連れながら横で親がタバコ吸ってたり、素敵なレストランのテラス席が喫煙専用席みたいになって非喫煙者は堪え難かったりと、ドイツの喫煙事情にはがっかりさせられてばかりです。嫌煙家にはつらい。

・公共交通機関は時間通り
 有名な話なので何を今更という感じですが、日本以外の国からくると心の底から関心します。

・英語は割と通じる
 例えばスペインやイタリアを旅行すると、ホテルのフロントが英語しゃべれないとかざらにあります。初めて行ったときはびっくりした。それに比べてドイツはわりと安全圏。北欧諸国よりは英語普及率少し低いかなという感じだけど、とても困るほどではありませんでした。

・意外におしゃれ!
 今回おしゃれエリアに重点を置いて回ったので、汚いというイメージはだいぶ払拭されました。さらに田舎国フィンランドにはないおしゃれブックカフェやデリカフェ、こじゃれたバーなど、東京に住んでいた頃だったら感動もなにもしなかった懐かしいものたちに出会えていちいち立ち止まる私。

もう一つ、
・ヘルシンキより寒い!!
という大発見がありました。
旅行に出る前のヘルシンキは連日−5〜0度ぐらい。雪は11月頭にどかっと降って積もって、そのあと少し暖かくなって溶けちゃったけど、それでも最高気温が8度以上になることはまずありませんでした。感覚としては+5度もあれば「今日はあったかいね」と言えるぐらい。
それに比べてベルリンの天気を調べると、せいぜい寒くても+5度。これなら真冬のコート(−30度まで対応可)もいらないじゃん、と手持ちの中で二番目に暖かいコートと二番目に暖かい手袋で出かけたのでした。
が、いざ着いたら寒い。
特に風が吹いているわけでもないのに、肌に突き刺さる寒さというか。おかしいなぁと思って天気予報を調べてもやっぱりプラス気温なわけですよ。ヘルシンキで言えばプラスなんて余裕のはずなのに、ベルリンでは屋外に立っているのもつらい、そんな寒さ。
でよく考えてみると日本の冬も似たような寒さなんですよね。骨身にしみるというか、体の内側に入ってくるような寒さ。フィンランドの寒さは、上着さえ正しく着ていればせいぜい露出している顔ぐらいがぴりぴりと痛む程度、それも暖かい室内に入ればすぐに収まります。がベルリンの寒さはどうも体の芯から冷えてしまって熱いシャワーなしでは収まりそうもない。
それでネットで調べてみたところ、どうやら同じ欧州でもいろいろな気候タイプがあって(そりゃそうだ)、フィンランドのヘルシンキエリアは「厳しい寒さ、極端に低い湿度」、ドイツやUKは「厳しい寒さ、少し低めの湿度」と別れるとのこと。高湿な日本から来るとヨーロッパなんてどこも「乾燥地域」一緒くたですが、ベルリンの中途半端な湿度が体にまとわりつき体を冷えさせるということでした。雨にぬれた状態だと通常より寒く感じるのと同じ原理なのだと読んで納得。
いつもフィンランドで乾燥しまくってていやだいやだと思っていたけど、たまには乾燥も役立つんじゃん、と勉強になりました。だってどっちの冬がいいかと聞かれたら間違いなくフィンランドの冬だもん。暖かいし。

というわけですっかり寒さにやられて、最期はベルリンのUNIQLO(フィンランドから最寄り店舗だと思われる)に寄って暖かい服を買ってきたのでした。これも日本にいたら見向きもしなかったのに、日本のメーカーの方がフィンランドでも通用する良い防寒着を作るなんて変だなぁと首をかしげつつ。

フィンランドで大腸内視鏡検査してきたよ!

2014年に日本で大腸内視鏡検査でポリープが見つかり切除手術する、という事態に陥った。
当時よそで公開していた体験記を掘り出したので、せっかくだからこっちにコピーして公開しておいた。
というのも最近になって、再度大腸内視鏡検査をよりによってフィンランドで受けたからだ。

そもそも、だ。2014年に切除したポリープは、その後の正検で癌ではないとわかったものの医師によると「ほっておいたら癌になってた」というレベルのもので、「若いうちにポリープできるのはまれだから今後注意して一年後にまた検査を受けるように」と言われていた。
それを一年後の2015年、ちょうど転居やらなんやらで忙しくて、なおかつフィンランドに引っ越したばかりで保険証もなく、なんだかんだで検査を先延ばしにしていたのだ。
そうしてようやく2016年になってから、まずは地域の健康センターへ出向き、状況を説明し、ようやく隣の市にあるでっかい病院の予約を3ヶ月後に取ることができた。

ちなみに予約の経緯はこうだ。
地域の健康センターで医師に相談。「私はそっちの分野はよくわからないから専用の医者に聞いてみる、わかったら電話する」と言われる。
しかしその翌日から私は国外へ旅行に出てしまったため電話が取れない状態だった。そしてしばらくすると自宅に書類が送られてくる。9月のこの日のこの時間、隣の市で予約したから来てね、下剤飲んでおなかからっぽにしてね、と。
日にちの希望とかなんもなしかい、と確認の電話をする。
日本で内視鏡検査を受けたときは下剤の影響で吐いて、かなりよれよれの状態で病院にたどり着いたので、隣の市のしかも郊外までバスを乗り継いでいかなければいけないというだけで気が遠くなる。できれば近場の、せめて同じ市内の病院にしてほしい。
すると、今から予約を取り直すと更にまた待たなければならず、市内となると更に難しいと言われ、仕方なくもとの予約内容に従うことに。何年も待って癌でした、ってなったら嫌だし。

そしていざ、検査の日が近づいて来た。
まずは一週間前に血液検査に行く。これは家からも近い市街地にて。予約もなしにふらっと行って、順番カードをとって、保険証的カードを見せて血を抜いてもらうだけ。
それと同時に始まった食事制限。
日本では、検査の三日前から食物繊維やごまなどはさけるようにと言われていたが、フィンランドでは一週間前からトマトもキュウリもベリーもだめ。更に穀物系がアウトで、黒いパンやオート麦のパンを普段食べている私はしかたなく白米か滅多に買わない白いトーストを食べることに。
ちなみに海草類も言及されてはいなかったけど避ける(わかめ食べるな、とか普通フィンランド人に言う必要ないもんね)。なのでうどんは素うどん。
日本人って普段から食べ慣れているから食物繊維がそんなに残らないんじゃないかと疑いはしたけど、とりあえず素直にしたがっておく。
そして検査前日は14時を過ぎたらほぼ食べちゃだめ。
食べていいのは白米か白いトーストか、具のないスープか、粒入りじゃないジュースかコーヒー、紅茶、ミルクなし。
これも日本の場合は前日21時までは食べて大丈夫ということだったので、そんな厳しくなくていいだろうと思うが、一応従う。翌日に下剤で大変な思いをするのもいやなので。
なので最後の食事は14時にして、そのあとは空腹感を満たす為だけにスープとトーストをかじった。

そして検査当日は朝5時に起きて、下剤を飲む。
病院から指定された薬は3種類。薬局で、安くて飲みやすいやつはどれ?と聞いて教えてもらったものを購入済み。
しかし「飲みやすい」が何をさすか、未だに疑問である。
じつは薬の購入時に紆余曲折があって、最初は指定された薬を薬局に買いにいき、お薦めされ手渡された商品をそのまま購入した。粉末状の薬を一瓶。しかし検査の前日になって使用法をじっくり読むと、その粉末を1リットルの水に溶かして、4〜6リットル分飲めと書かれている…!
つまり最低4瓶は必要。それに気付いたのは日曜日、検査は月曜日。慌てて24時間空いている薬局へ買い足しに行くも、そもそもフィンランド人の基準で4リットル必要なら私はそんなに必要ないのでは?とふと思い当たる。夫も同じことを考えナースである義母に相談したところ、やはり私のサイズ(身長159センチ)では3本で大丈夫だと思うということで、2本だけ買い足すことにした。
それにしても、3リットル。よく日本の大腸内視鏡検査レポートを読むと「1,8リットルの下剤の洗礼を受けた」だの書いてあるが、そんなの甘い。3リットルなんて水を飲み干すだけで大変だ。しかも1リットルは1時間以内に飲み干せという。
他の薬だったらもしかして少ない量で済んだんじゃ?ひょっとしたら飲みやすい=効き目がマイルド、と薬局の人は勘違いして薦めてくれたんじゃ、などと不安になってくるが、もう買ってしまったものはしょうがない。これを飲むしかないのだ。
そして口に含んでみた下剤は、驚くほど無味だった。日本で私が選んだ下剤は梅味という、ちょっとしょっぱい小梅ちゃんキャンディみたいな味がついていたが、これは無味。なんだいける、とぐびっと飲み干すと、すんごい不快感が胃から競り上がって来た。
後味わる!!
というか、後味は日本で飲んだものとまったくといっていいほど同じだった。日本のは梅味でごまかしてるだけで基本の成分は同じなのかもしれない。
そうして口の中が過去を思い出すと自然とやってくる嘔吐感。。。
ただし今回は薬局で薬を買い足したときに薬剤師が教えてくれたアドバイスに従って、砂糖水というか自家製生理食塩水を用意しておいた。要はぽかりである。脱水症状になりやすいのとエネルギーを補うという意味で薦められたそれを、私は下剤の後味を消すのに使い、薬をあおる→ぽかり口に含む、を繰り返し、なんとか嘔吐感を押さえ込んだ。ついでに薬にレモンを混ぜてもいいとのことだったので、ここぞとばかりに混ぜておいた。

その後の詳細は避けるが、まあやはり3リットルでよい結果を得て、あとは検査予約の入っている午後一番まで休息、気を失ったように寝た。
そして病院へ出向く。前回急に入院になった経験から、コンタクトレンズケースと眼鏡と着替えと、検査が終わったらすぐに食べられるようにバナナをバッグに突っ込み、夫に病院まで送ってもらった。

病院へ着くと、まず大きい病院なので迷う。
インフォメーションで聞くと、担当の彼女はなぜか私の持参した予約詳細の書類をチェックし、「床に黄色い線があるでしょ?それについていって5番の部屋で待って」と言う。
日本みたいに問診票かいたり受付があったりとかはないんかなーと思いつつ、床に貼られた黄色いテープを追うと無事私が行くべき部署へたどり着けた。いいシステムだ。右いけとかどこそこで曲がれとか説明されるより簡単。
そして5番の部屋で座る間もなく、ナースが私を待ち構えていて「●●(=苗字)さん?こっちで着替えて、荷物はここに置いて」とテキパキと指示される。保険証カードの確認やIDの確認、一切なし。そりゃあ私は明らかなガイジン顔だから、ナースが既に下の名前が変だとチェックしていれば「あ、アジア人来た、あいつに違いない」と判別できるのだろうし、きっとインフォメーションで見せた書類に社会保障番号が載っているからそこでチェックイン済みなのだと思うのだけれど、そんな簡単な管理で大丈夫か、とちょっと不安にもなる。スムーズでいいんだけどさ。
まあとりあえず、そこからは着替えて、ロッカーに荷物を慌ただしく入れて、検査室へ向かう。
日本ではこの間に腸管の動きを止める点滴とかあったんだけど、そういうの一切なし。検査室へも徒歩で入る。
日本で取ったポリープの写真と手術記録があったので一応持参したけど、年配の先生はちらっと見ただけで終わる。しかし年配で安心したことも書いておこう。若くてヘタだったらいやだな、と思っていたので。

ちなみに、日本での検査はまったく痛みがなかった。
麻酔は打たれなかったので自分の腸の中もしっかり見れて、なんだ内視鏡検査簡単じゃん、と思ったのを覚えている。
そして多くのフィンランド人がいうところによると、フィンランドの医療技術は世界でも高い水準、なのだそうだ。
ベッカムが脚の手術しにわざわざやってきた、とかそういう逸話をよく披露されるんだけど、それ外科手術じゃん、的なね…。でもフィンランド人によると、何も心配することはない、と。そこは同意。

そしてもう一つ言っておきたいのは、私は本来痛みに強い方だと思う。
打撲系の痛みは慣れているし、昔結構な傷を負ったのでそっち系も大丈夫、我慢強い方だと思っていた。

とわざわざ書くのは他でもない、フィンランドでの検査がくっそ痛かったからです。
いやあもう。痛みで叫んだのは生まれて初めてだ。
最初は違和感から始まって、うっとかうめいて顔を歪める程度だったんだけど、それがうあああ!になり、看護師に押さえつけられる始末。
彼らの言い分によると「あなたの腸は長い」「そして狭いのでどうしても痛みが生じてしまう」とのこと。
これはもちろん日本でも起こりうることで、やはり他の方の体験記を見ていると同じような経験をお持ちの方がいるので、まあ日本での1回目がよっぽど運良くうまい医者にあたったんだろうな、と思うことにする。
というわけで、叫び、押さえつけられ、「普通に息して!深呼吸!」「目は開けて!」とナース二人に励まされ、30分にも渡る検査は終わった。
そしてその痛みに耐えている最中、見てしまったんですよ。検査台っていうんですかね、あのベッドに「JAPAN 1965」と刻印されているのを……。
最初はわー日本製なんだーとかのんきに安心しようと思ったけど、ん?1965年って!!!50年前やんけ!
もしカメラがそのぐらい年期入ってたら?と疑問に思い始めたら(もちろんそんなわけはない)痛みが倍増で、ものすごく不安になった。
親しい友人の一部は私のことをMではないかと疑っているけれど、違うよ!私絶対Mじゃないと!と心の中で叫んで痛みを紛らわせたりもした。

しかしそうやって耐えた甲斐もあり、今回の検査では何も見つからず、もう毎年検査を受けることもないよ、数年後でいいよとお言葉をいただき、そのまま帰っていいとのことだったのでさっさと着替えて出て来た。検査中モニターでも確認したけど腸の中、綺麗だったし。

あとになって、腸が長いってどういうことだろう?だから私は相当量食べられるのか?とふと気になって思い調べてみると、確かに日本人はアメリカ人よりちょっと長い、とか統計があるらしいけれど、だいたいそれは「ヘタな検査医の言い逃れ常套句」だの書かれていて、またまた不安倍増。
結論、今のところ次回の検査は日本で受けようと思っている。
が念のためフィンランドの名誉の為に言っておく、、冒頭で「よりによってフィンランドで」と書いたのは、よりによって私が現地語を満足に話せないフィンランドで、という意味である。医療レベルに関しては、私自身は「まだ」そこまで疑心に満ちているわけではない。

【2014年闘病記】※闘病時間:5分(笑)

※2014年に日本で大腸内視鏡検査を受けた際の記録です。

健康診断にひっかかったのは8月のこと。
もともと貧血だし低血圧だし、胃炎もたまにあるし、検査中に検査医が腹部超音波でめっちゃ首かしげてたので、ああこれは引っ掛かるな、と思ってた。
しかし実際結果が出てみると、ひっかかったのは腸で、有無を言わせぬ「要・精密検査」。
血液系は「要・再検査」つまり3か月後に体質改善してから出直せ、とのこと。胃は「要・経過観察」と軽め。
診断受けたことある人ならわかると思うけど、腸ってことはあの項目でひっかかったってことで(品位を保つためにいわないでおく)。もし精密検査=内視鏡でクロだとしたら年配の人がなる病気みたいだし、健康診断レベルの検査では間違いもよくあるみたいだし、まあぶっちゃけ「どうせぢか何かでしょ?」って思ってた。自覚症状ないケースもあるみたいだし。
ちなみに会社に報告したら、精密検査は自腹だし受けない人結構いるよ、とも言われた。なんだ義務じゃないんだ、と拍子抜け。
それでも精密検査を受けようと思ったのは、安心したかったってのが一番。だから軽い気持ちで、でも痛いのは嫌だから専門医がいるちょっと遠くの病院に検査を申し込んだ次第。そしたら平日なのに約2か月待ち。検査までの別の日に説明と問診に来てくださいと言われて行けば3時間半待ち。まあ、待った甲斐はあったんだけどね、いま思えば。

検査の準備は前日から、お腹の中を空っぽにするために食事制限がある。まったく食べるなと言われればそれはまあいいんだけど、意外なことに食べていい。ただし野菜ダメ、ゴマも豆も海藻もダメ。と普段野菜尽くしの私にはキツい限り。
しかたなく昼は唐揚げ弁当を食べ(ごはんにかかってるゴマを取るのが大変だった!)、夜は寿司を食べた。炭水化物とたんぱく質のみの食事、もし続いたら発狂しそうだ。

そして検査当日はまさかの5時起き。なぜって下剤を飲むために。
もし仕事が忙しければ午後から出社する気満々で朝イチの検査を予約したら、来院前にお腹空っぽにしてきてくださいね、と2リットル分の下剤を渡された。ちなみに下剤は三種類あって検査説明のときに選べるようになっていたけど、なんせ今まで飲んだこともないので一番飲みやすくてオススメだと言われているやつにした。梅味。梅なら好きだし楽勝、とここでも軽い気持ちだった。
それがいざ早朝から飲み始めてみると、梅味ってのはしょっぱい味で、冷ました梅干し茶みたいな味がする。途中にお茶を挟みつつ2杯目ぐらいまではどうにか飲んだけど3杯目から気持ち悪くなってくる。
薬が入っていた袋、および検査説明の紙には「気分が悪くなったり吐き気がしたら無理せず服用をやめ、医師に相談してください」とかなり大きな字で書かれている。でも下剤と一緒に吐き気止めの薬も処方されていたので、多少の気持ち悪さはデフォルトなんだな、と割りきってみた。気持ち悪いぐらいで何言ってんの、甘えんな、という変な体育会系の自分も出てきた。
そしたら4杯目、一口飲んだところで見事にリバース。普段滅多に吐かない貧乏体質の私にはこれは異常自体で、しかも吐いたのは透明の下剤だけ、当たり前だけど胃はからっぽなのでこの薬が悪さしてるってことだ、やばい、としばらく横になって無の境地に陥った。
そのとき考えてたこと。
①やった、吐いた、吐いたらもうこっちの勝ちだ、やめる言い訳が通る。別の薬に変えてもらって改めて検査しよう。つーかもう検査しなくてもよくない?
②あー、わたし拷問とかされたらたぶん速攻寝返るわ、意外にメンタル弱いな(※最近観てるスパイドラマの影響)。
③薬程度で吐くならツワリとかきつそうだなぁ(※彼氏もいないくせにw)

横になって少し回復して、とりあえず今日の検査予約を延期してもらわねば、と病院に電話を入れる。吐いたら医師に相談を、って書いてたし。
このとき6時半頃。薬を飲みはじめて約一時間。こんな時間でも電話に出てくれる病院、ありがたし。
で、電話口で状況説明をする。吐いてしまったんですがどうすればよいですか、と。もちろん、薬を変えて検査日を改めて、という流れを期待してたんだけど返ってきたのは意外な答え「吐いてしまった以上ムリに飲めとは言えないけど、全部飲んで来院されるか病院で続きを飲むかのどちらかなんですよね」。
結局飲めって言ってる…!なんてこった、試合続行だ。
しかし私も私でそう言われたら負けず嫌いの血が騒いで、もう飲んでやろうじゃないかとやり直すことに。いやー、弱い子に生まれたかったわ。でもそもそも名前の由来が強く育つようにだから無理だよね、お母さん。
で、飲み切りましたよ1リットル。2リットル渡されてはいたものの、半分は捨てて飲むのは半量でいいとのこと。つまりコップ5~6杯。途中リバースした量は引き算せずに飲みきったものとしておく。

それでもうヘロヘロになりながら、バスに乗って電車に乗って、なんの準備もせずに病院にたどり着いた。
そこからはさすがにあまり待たされずに、着替えて雑誌を読んでるうちに時間通りに検査室へ。10時半。
前回来たときは受付の対応悪いし従業員のおしゃべり多いしこの病院感じ悪いなぁと正直思ってたけど、実際の現場、看護師や検査医がいるところに入るともうみんな天使だらけ。
薬を戻した電話の件は伝えられていて、それでも飲みきったことを「よく頑張りましたね」と讃えてくれたり、検査前の点滴中に再度詳しい説明をされて「怖くないですからね」と言われたり。いや、そんな不安げな顔をした覚えはないんだけど、回りを見渡すとやっぱり50代以上の患者さんばかりで、それで若くみられたのではないかと推察。それから私が飲んだ下剤はもっとも飲みやすいとされていて、それを吐くなんて、と若干病弱扱いもされてたのかも。

それからは流れ作業、工場の豚状態。
横になって電解質の点滴を打たれたまま検査室に運ばれる様はドラマなんかでよくある下から見上げる風景にストレッチャーのがらがら音がかぶさってちょっとわくわく。検査室では覚悟していた痛みとかはまったくなくて、ちょっとした違和感がある程度。麻酔まではいかないけどなんかそういう薬を点滴に混ぜてるらしい。おかげでリラックスして検査を受けれた、というかそもそも寝不足だったので横になれるだけでありがたかった。

が、つつがなく終わるのかと思われたとき、医師に名前を呼ばれる。「ここにポリープあるんですがどうしますか」と。
検査前に、見つかったら切っちゃってね、という同意書を書いていたのに、ここでもう一度聞かれることにまずびっくり。それからクロだったことにようやくビックリして映像を見た。自分のハラの中。思っていたよりずっと綺麗で、黒くも赤くもなくピンク。そこに確かにニキビみたいなのがある。2、3ミリ程度らしい。
日を改めて取ることもできるし、まだ小さいから一年後に再検査で取るも良し、とゆるーい感じで言われたけど、そんな不安を抱えながら生活するのは嫌なので、取っちゃってください、とお願いする。入院することになりますが、と言われても、なんの準備もしてなかったものの、まーいいやーと切除希望。そのままポリープとやらはカメラの前でみょーんと焼かれてなくなった。なんの痛みもないので実感なし。

そうして私はふたたびストレッチャーで運ばれ、入院病棟へ。
部屋はふたり部屋、でも誰もいなかったので独占、ラッキー。夕方から週末にかけて姉と約束してたので、ごめん入院することになっちったテヘペロ、とLINEを入れておく。
自分でもふてぶてしいほどに動揺がなかったのは、子供の頃に怪我で入院した経験があるからっていうのが大きい。あのときは血まみれで痛くて痒くて食事制限もされてて大変だったけど今回は一泊、しかも朝には退院できるという。
病室に入った時刻は昼の12時頃。いつの間にかそんなに時間がたってるのにはびっくりしたけど、入院セットを看護師が持ってきたり、点滴しなおしたり、医師が退院後の薬の説明に来たり検査医が手術内容の説明に来たりとしばらくばたばたした。
落ち着いたのは2時頃、眠くて落ちる。手術より入院より、平日の昼間から清潔なベッドで眠れることがまず嬉しかった。午後5時半頃目覚めて、夕食前の温かいお茶をいただき、その後は他の病室ではゴハンらしいけど当然食べられないので唯一持ってきたひまつぶしの道具・本を読む。推敲中の原稿を持ってくるべきだったと若干悔やむ。携帯の充電器さえ置いてきた私、当然コンタクトレンズのケースさえも持っていなくて、売店に買いに行こうとしたけど、自身もたまにコンタクトをつけると言う看護師さんが先に電話で確認してくれて、置いていないと判明。諦めてそのまま一晩過ごすことに。辞めた方がいいですよぉ、と言われたけど、外して裸眼で帰る方が危険だし、だいいち着けたまま落ちる、ってよくやるし。最近はさすがになくなったけど、と考えて、ああ職場近くに引っ越してからだ進歩したなぁと我が身を振り返ってみる。前がよっぽどひどかったんだな、そりゃポリープの一つもできるわ、働きすぎだわ、と。

で、あとの入院生活はなんのドラマもなくひたすら寝る。点滴は全部で4本、2リットル。血止めの薬と、あとは
なんだろ、栄養系?おなかはふしぎとまったく空かない。寝過ぎたせいで夜中にさすがに目が覚めて、ふと腕を見ると点滴が空になって血が管を逆流してたけど、ナースコールして事なきを得る。

そうして翌朝9時頃、最後の点滴が終わるのを待って無事退院。ごまんえんというお会計にがくぶるしながら(保険は入ってる、ほんと良かった!)も、あっさりシャバに出て、来たときと同様、電車とバスを乗り継いで帰る。
で、今日一日は安静。天気がいいのに家にいるのがもったいないけど、洗濯した以外はおとなしくしてた。なによりお粥だけでも食べたら胃に血が回ってものっすごく眠くなったし。

長々と書いたけど、みんな、健康診断は甘く見ちゃいけない、まじで。
正直私は酒もタバコもやらない、運動も適宜していて適正体重、食事には結構気を使っていて野菜中心、睡眠も今はたっぷりとってる、のに今回こんな結果になったので、もう生活習慣とか年とかほんと関係ないと思う。私から見たらコンビニ弁当とか食べてる人たちのがヤバイんじゃないのかって思うし。
あと保険は入るべき。私の場合は共済だけど。
結構ね、まわりにいるんだよね。診断最近受けてなーい、とか、受けても精密検査やってなーい、とか。保険入ってなーい、貯金してなーい、なんてお馬鹿さんまで。
個人の自由だけど、筋肉とお金は裏切らない、がモットーの私にとってはその辺大事だし、社会人になってから経済的に親を頼るような人とは対等には付き合えないので、うーん、しっかりしましょうお互い、ってとこかな。

ちなみにポリープはやっぱりこの歳では珍しいらしく、できやすい体質かもしれないので一年後も検査を受けるようにと言われた。今回取ったものが悪性かどうかは検査中、乞うご期待。とりあえず次の検査にはPCを持っていこうと思う。

フィンランドの病院に行ってきたよ!のお話

もうだいぶ前、年明けの話になってしまいますが、フィンランドの病院に「初詣」してきました。

引っ越して間もない頃は観光ビザで入国して旅行保険しかなかったし、結婚後にあっさり滞在ビザが下りてからも所詮は無職、お金のかかる病院には本当に緊急のとき、重病のときしかいかないんだろうなぁとなんとなく思っていました。
というのも、ロンドンに住んでいる人生の先輩がいうには、いわゆる町医者の予約はすごく取りにくくて、私設病院ならすぐに行けるけど、ものすごくお金がかかるとのこと。
フィンランドのシステムも似たようなものだし、まあはっきり言うと病院という存在にガクブルしてたんですね。すんごい根気か、もしくはお金かのどっちかが必要なのだと。
もともと日本にいたときから滅多に病院にいかなかったし、唯一頻繁に通っていた皮膚科も、フィンランドに来てからはアトピーが軽くなったし、ものすごく幸運なことに夫の伯母が元皮膚科医ということで処方箋が必要な薬も病院にいくことなく処方してもらっていました。

なのでこんなに早く病院のお世話になるとは思ってもいませんでした。

簡単にフィンランドの病院の仕組みを説明しておきます。
まず、行くには予約が必要。飛び込み診療は救急車レベルでしか許されていません。
で、電話予約が取れたら行く先は「病院=ホスピタル」ではなく直訳「健康センター」と呼ばれる町医者です。
何が違うのかって言うと、フィンランドでホスピタルというのは基本、入院できる設備が整ったのことを指すらしく、うっかり「ホスピタル行ってきたー」と言おうものなら「え!どこが悪いの!?」とぎょっとされます。逆に「健康センター」は各地域にあり誰でも訪れる、日本で言えば「診療所」のこと。
歯医者は別になってしまいますが(※後述します)、健康センターに行けば大抵見てもらいます。
そこで解決できない場合は、改めてホスピタルの専門医に診てもらえる、そういう仕組みになっています。
つまり電話予約→健康センターで診療→必要があれば専門医へ、こんな流れです。
が、そんな回りくどい方法取れないよ!今すぐ診てもらいたい!という場合は私立病院へ行くのも一つの手です。
そこは基本的に健康保険が効かないので、自腹になってしまいます。

なので私はずっと私立病院というのは「お金持ちのひとびと」が行くきらびやかな場所だと思っていました。
しかし、夫が何故かちょくちょく行ってるんです。私立病院。
夫「明日病院いくことにした」
私「え、今から予約取れるの?」
夫「私立だから大丈夫」
そんな感じで気軽に。
アンタいつからそんなセレブになっちゃったの!?と初めはびっくりしましたが、実は福利厚生の一環で、夫の会社に提携しているプライベートドクターがいるのだとか。
なので単なる風邪でもなんでもそこに行けばさくっと診てもらえるし、無料だし、会社と裏で繋がっているので病気休暇の申請も簡単に出せるといいことずくめ。

しかしそんな恩恵は私には回ってこず(日本と違って配偶者検診とか扶養という制度がまずない)、私が予約することになったのは健康センターの方でした。……どうでもいいけどこのセンターという直訳、なんだあおばあちゃんたちが集う公民館付属のジムみたいだね。
なんで行く羽目になったかというと、もうこれは本当に間抜けな理由。

巻き爪になったのです。

ええ巻き爪ですよ、巻き爪。爪のはしっこが皮膚に食い込んで痛くなるアレ。
もともと両足若干巻き爪気味ではあったものの、爪を切るときにしっかりケアしてれば大丈夫な程度でした。
が、寒さがたたったのか、クリスマス前に急いで爪を切ったのがいけなかったのか、クリスマスを夫の実家で過ごしていた頃には「あ…なんか足の爪痛い」となり、しかし普段使っている爪切りを持っていなかったので、しかたなく手持ちのガラスの爪やすりをつかって処置。
それもおして夫の地元を歩きまわっていたら、爪をかばって変な歩き方をしているせいか脚も痛くなるし、5泊のクリスマス休暇から自宅に戻ってきたときには、患部が腫れて真っ赤な状態に。
急いでいつもの道具で処置をして放置してみたものの、良くなる気配がなく、年を越してからは赤かった幹部が紫色になる始末。
そこで薬局で買ってきた塗り薬を塗って、薦められたフットバスを朝晩して様子をみたものの、紫色から化膿しだして黄色、もうなにがなんだかのカラーフェスティバル状態。
仕方なく、日本で言う「お正月休み開け」の月曜日に朝一番で健康センターの予約を入れてもらうことになりました。

情けなくも電話予約は夫に丸投げしたんですが、よりによって一年で一番予約が取りにくいであろう日に電話してもすぐ予約取れないだろうなぁと諦めていました。
もしくは取れても遠い病院に回されるのだろう、と。
というのも健康センターは市内であればどこでも訪れることができるので、近くに空きがなければ場合によっては片道一時間かけて、バスや電車をのりついで行かなければいけません。
が、予約の電話を終えた夫にどうだった?どこになった?と聞くと、
「10時半にすぐそこの予約取れたよ」
と誇らしげな様子。
すぐそこの、というのは私たちが住んでいるのと同じ小島にある唯一の健康センター。徒歩10分程度。
いつの予約をとれるかはどれだけ緊急かにかかっているので、もう2週間以上もこの状態だと伝えたところ、じゃあ今日で、とあっさり通ったようです。
ちなみに同じ地域の病院が取れたのはある意味奇跡で、ある意味必然。
というのも私たちが住んでいるエリアは海水浴場がある離れ小島で、シティセンターほどごみごみしていない、かといってヘルシンキのはずれでありながら反対側のはずれみたいに治安が悪くない、まあはっきり言ってしまえば移民がごく少ないエリアなのです。
ショッピングセンターもなく(今作ってるけど)、メトロも通っておらず(これも今作ってる)、なのでわざわざこんなはずれにある健康センターによそから来よういう人も少なく、それで予約が取れたのだと推測します。
しかし10時半の予約というのは、つまり2時間後。急いで支度して行ってきました。

うちの地域にある健康センターは、小さい町医者サイズを想像していましたが、実際は学校の校舎ぐらいのサイズでした。
予約のときにあらかじめ伝えられた待合室へ行き、ただそこで待ちます。受付も、問診表の記載もなにもありません。
そして名前が呼ばれたのはほぼ予約の時刻通り。
驚いたことに診察室の中から出て来て私の名(苗字)を呼んだのは、ドクター本人でした。
そして診察室の中にはドクター一人だけ。看護師も医療事務も誰もいません。
ありがたいことに英語で対応してくださったので、症状を説明して患部を見せて、化膿止めの飲み薬を処方してもらっておしまい。5分もかかりませんでした。
処方箋は電子データで私の健康保険証のデータに紐付けられていて、ドクターや薬剤師ならいつでも見られるようになっています。
つまり薬の組み合わせとかも向こうで勝手にチェックして考えてくれる、お薬手帳の役割も果たしてます。
それだけじゃなく過去によそでやった検査なんかもわかるので、自分でいちから説明する必要がありません。
一応紙の処方箋も貰ったけど、受付を通すのではなくドクターがその場でプリントアウトしてくれました。
診察室から出たらあとは薬局にいって、薬剤師に保険証(カード型)を見せたら薬が出て来て購入しただけでした。超簡単!
あれ?じゃあ病院のお金はどこで払うの?と疑問に思い夫に聞くと、後日自宅に請求書が送られてくるとのこと。
しかし数日待っても来ません。
もしかして私踏み倒しちゃったんじゃ、と心配になって調べると、ヘルシンキの健康センターは全部タダだそうで、これまたびっくり。
隣の市はちょっとお金かかります。が、それも1000円以下ぐらい。
さすが高い税金払ってるだけあるわと、夫婦揃って改めてこの国の制度に感心しました。
(夫がタダって知らなかったのもちょっと間抜けですがw)

その後、実は歯医者にも行ってきました。
これは急ぎではなく単なる歯科検診目当てだったので、近場ならいつでもいいよ、と予約したらひとつき待ち。
また別の、チャリで20分くらいの距離の健康センター内にある歯科部門にいくと、廊下にモニターとバーコードリーダーがあり、そこに保険証のバーコードをかざす仕組みになっています。
ぴっとすると、画面上に「13番のドアの前でお待ち下さい」と表示され、それで私が到着したことが診療室に伝わるのか、ドア横の椅子に座って待っているとすぐに歯科衛生士が出て来て私の名を呼びました。
そして診察室内は歯科衛生士と歯科医の2人のみ。
私の顔は明らかなガイジン顔なので、衛生士が優しくも「英語とフィンランド語どっちがいい?」と聞いてくれたものの、すかさず「英語で!」と答えると「おおう、OK、がんばる。。。」と相手も及び腰(笑)。
結局英語とフィンランド語を交えながら、特にちょっと年輩の歯科医が英語がほぼできなかったので、私のへたへたフィンランド語で応戦しながら、無事に「虫歯なし!問題なし!」、レントゲンまでご丁寧にとり、診察を終えました。
(フィンランドは教育水準が高いのでみんな英語がしゃべれます。。。ということになっていますが、実はその教育が始まったのもほんの数十年前なので、私の親世代の方は意外と話せなかったりします。)
診察を終えたら前回の健康センター同様、支払いも何もせず診察室からまっすぐ帰って来ました。歯医者についてはお金がかかるので、あとから自宅に請求書が送られてくる仕組みのようです。
そういえば歯科チェックついでに歯科検診とは別に歯の心配ごとがあったので相談すると、「それについては私立歯科医に行ってね、予約方法の紙は家に送ってあげるから」と言われてしまい、ずーんと落ち込みました。
が、後日自宅に送られてきた書類に目を通すと、私立歯科医で使えるクーポンが同封されていました。ついでに私の歯のデータが入ったCR-ROMも。
そのクーポンはヘルシンキがここ数年始めた新しい制度のようで、私立病院であっても紹介状があれば全額負担する必要がなく、日本と同じぐらいの値段で診察が受けられるようです。
誰でも必要ではないけれどあるといい治療(たとえば歯科医でいうと歯の矯正なんかかな?)は自治体が何割か負担してくれます。
なんだ私立も馬鹿高いわけじゃないんだ!とすっかり病院に対する私の中のハードルが下がりました。
ちなみにリアルな病院、英語で「ホスピタル」の方も、クリスマス時期にこっそり訪問していました。
こちらは義母がナースなので、従業員用の食堂に紛れ込ませてもらったという話。
病院食というといまいちなイメージしかなかったのですが、さすがはフィンランド、普通のカフェテリアのランチバフェなみで、数種類のパン、ジュースや牛乳から始まり、サラダにクリームの中で焼いたサーモンやらクリスマス時期限定のキャセロール料理、もちろん食後のコーヒーとデザートまでフルコース。
何気に楽しみにしていたナースの制服もネイビーブルーと、いろいろ日本とは勝手が違い、食後の地下室探検なんかも含めて楽しませてもらいまいした。
たぶんいつか入院するはめになっても、フィンランドでの入院もそんなに怖くないはず。うん。

そんな一連の病院訪問を通して思ったのは、このフィンランドの医療制度、地味なようでものすごく画期的で、タダなのももちろんありがたいけれど、受付や医療事務やアシスタントをすっ飛ばしていきなり診察ということで患者は時間短縮できるし病院側も人件費削減できるしで、心の底から感心しました。
予約制も一見面倒なようではあるけど、例えば日本の待合室みたいに風邪っぴきがたくさんいる中で数時間待たされる、なんてこともなくて衛生的だし、なにより体調悪い時にずっと外出状態が続くこともなくてかえって健康にはいい気がします。
こちらでは物価や税金が高く、そのイメージばかりが日本では独り歩きしていますが、病院や学校にお金かからないし市のカルチャーセンターでの学習費も日本に比べたらずーーーっと安いし、いま話題の待機児童ももちろんいないし、きちんと税金が使われているなぁと感謝するばかりです。

外食してもやっとしたこと

先日夫と外食してきました。
そのレストランはヘルシンキの中心に位置する湖畔にあり、大きなガラス窓から中をちら見するといつもテーブルにキャンドルの明かりが灯り素敵な人々が食事している様子がうかがえる、そんな場所でした。というのもその湖畔は私の通学路、いつも汗水たらしながらチャリこいで横目で「おかねもちのひとびと」を眺めるという「羨ましスポット」だったのです。
そんな私が、あそこのレストランいいよねー、素敵な雰囲気だよねーと言ったのをうちの夫は覚えてくれていて、さらっと予約してきた……と書きたいところですが、さらっと職場からクーポンを取得してきました(笑)。クライアントの接待に何度も使っているレストランはクーポンをくれるそうで、夫自体は接待業務が少ないエンジニアなんですが同僚のクライアント担当から割引クーポンをおすそわけしてもらったとのこと。もちろんそんなこと気にする私ではないのでむしろラッキー、じゃあ行こうということになりました。

ちなみにヘルシンキの「素敵なレストラン」はそんなに数多くないです。外食自体とても高いので一般家庭では毎週末外食なんて有り得ないし、人口が少ないので自然とレストランの数も少なくなります。市内の主要レストランは話題にあがれば「それどこ?」なんて聞かれることがなく、たいてい誰かが知っている、行ったことがある、そんな感覚です。だからこそきちんと定評のある場所だけが生き残っているような気もします。
逆に日本ではお店がたくさんあって、まずい店を見つけるのは難しいけど、本物の店を見つけるのも同じく難しかったなぁと最近思います。分かりやすくいうとミシュランの三つ星に行っても驚かされるほどおいしいという料理に出会えないこともあれば(サービスなんかは満点なんですが)、雰囲気ばかりのバルだのリストランテだのが軒を連ねていて誰でも散財するのが可能でした。散財、つまり、値段に見合っていないものに対してお金を払いそれを払うもしくは払わせることでいい食事をした気になる、そんな偽物行為が溢れていた気がします。いや、もちろんいいお店もたくさんあったんだけど。
その影響か、たまーに日本で、ちぐはぐな人たちを見かけることもありました。ビルの最上階にあるような素敵なお店で、子供メニューが必要な年齢の子を連れた親子連れがお食事をし(もちろん店には子供メニューなんてないので大人料金)、ついには子供が長ったらしい食事コースについて来れず遊び出すもしくはわめきだす「ねーもう帰ろうよー」。逆に私が昔バイトしていた駅のきったない立ち食い蕎麦屋でおぼっちゃん孫を連れたお金持ち風おばあちゃま(あくまでも「風」)が、「子供向けの椅子やフォークはないのかしら?」と顔をしかめる。いやいやうちデニーズじゃないですけど、むしろ立ち食いだし椅子とか言われても。
と、まあはっきり言ってしまえば「お金出せばなんでも許されるんでしょ」感や「店の選び方使い方を分かっていない」感がものすごく溢れていて、たびたびあいたたーと思わされることがありました。そんな頃(自分が海外に住むなんて想像してなかった頃)に、ヨーロッパでは子供(=半人前の未熟者を)外食に連れていくなんてもってのほか、という考えが普通と聞きまして、ああいいなぁと思っていたものです。
やっと本題。これはそんな日本のもやっと感をこっちでも見たよ!という話です。

件の素敵なレストランは、クリスマスシーズンの多くのレストランがそうするように前菜とデザートはバフェ、メインのみ3種から選んでテーブルサーブされるというスタイルで、たぶん普段よりもカジュアルな雰囲気でした。ウェイトレスの笑顔もとても素敵で、私たちがもらったテーブルはお店のど真ん中、アジア人だから隅に追いやられると思ったけどそんなこともなくちょっと安心しました。回りを見渡すと90%以上が地元民、白人、聞こえてくるのはフィンランド語がほとんどで、カップルが多く女性同士のテーブルもあり、でももちろん子供なんていない、落ち着いた雰囲気でした。
肝心のお料理の方も、フィンランドのクリスマスバフェは三度目の私、メニューはどの店も似通っているものの、それでも驚かされるほどおいしいものがいくつかあり、連れて来てもらってよかったなぁ、いい夫を持ったなぁとしみじみしたものです。特にメインで私が選んだ鴨の骨付きローストは今まで食べたダック料理の中で一番と思えるぐらいの出来で(逆に夫が選んだサーモンは私たちの好みの味付けではなかった)、大満足しました。
そんな食事を楽しんでいる折り、私はちらちらと視線を感じていました。あー、これこれ、よくあるやつだーと思いつつ無視する私。ナンパじゃないですよ、その視線を投げかけてくるのはアジア人女性、多くは日本人の女の子、です。「あの人日本人かなどうかな」みたいな観察の目をね、結構不躾に向けてくるわけです。たぶん多くは旅行者で「せっかく憧れのヨーロッパ旅行なのに日本人に会っちゃったよ」といういやーな感じを覚えるんでしょうね。なんでわかるかって言うと、私も同じだから(笑)。もちろん憧れのヨーロッパだなんて思ってないけど、これ全人種に共通するのではないかと思われる独特の感情で、夫も日本で外国人(主に白人)に会うと「俺の日本なのに!」って悔しがるし、日本語話せる白人にこっちで会うと「俺より話せる…」って落ち込むし、こっちで日本人女+フィンランド男のカップルを見るとお互い視線を合わせないようにするびみょーな空気が流れます。
これが所変わって駅やバス停の場合、多くのそういった視線は日本人旅行者からの助けを求める視線だったりするので夫は率先して助けたりしますが(私はしない。助けが必要なら自分から声掛けるべきって思うし日本人のそういうところが嫌いだから)、ここはレストラン。そのアジア人女性からの不躾な視線はただただ失礼なだけなので私は無視を貫いていました。それでも相手が背を向けたときにちらっと観測すると、やっぱりどう見ても日本人、小柄な20代後半と思しき女性、可愛らしいレースのついたワンピースは日本でしか手に入らない、もっというとこっちの人は絶対着ないテイストなので、旅行者か移住して間もない方だと伺い知れます。バフェテーブルに行くにもおどおどした態度と歩き方、こういうので日本人ってわかるんだよなぁ自分もしっかりしなきゃなぁと我が身を省みる思いであります。
でも私は日本人を見かけたよ、と夫に告げることはしませんでした。そこそこ広いレストランなので気付かなければそれまでだと思ったし、なによりバフェから最後のデザートまでどういう順で食べたら勝ち抜けるか(食べたいものをおいしくより良いペースで食べきれるか)にしのぎを削って味わっていたので、そんなことはころっと忘れていました。デザートの辺りまでは。

私たちはディナーの中でも一番遅い枠に、しかも少し遅れて入店した上、前菜を3ラウンドもしたので、満員だったレストラン内もデザートの頃には半分ほど空席になっていました。メインをすっかり作り終えた厨房の心地よい雑音もやみ、今まで賑やかだったレストランに、落ち着いた雰囲気が漂ってきました。そこに不意に聞こえて来た、覚えのある言語。

「えーそうなんだぁー」

鼻にかかった、日本人の女の子独特の甘ったるい話し方(ここでの「女の子」はもちろん蔑称)。例の日本人が、お連れのフィンランド人女性と窓際のテーブルにつき日本語で会話していました。フィンランド人女性はとても流暢な日本語を話していて、どうやら日本語を話せるフィンランドの友人を訪ねて来た日本人旅行者、といった様子です。私はそのときまで知らなかったんですが、日本人の女の子独特の話し方というのは雑踏の中の中国語並みに回りの雰囲気から浮くもので、さすがの夫もそのテーブルに日本人がいることにすぐ気付きました。
聞きたくなくても自然に耳に入ってくる会話、高い声、なんだかものすごく不思議な違和感を覚えて私はデザートと格闘しつつももやもやとしてました。この違和感の正体はなんだろう、と。
とはいえ私は夫がそれを気にするなんて思いもしませんでした。基本的に女の子好きだと思っていたし、相手が日本人なら容赦もするかと。しかしそうではなかった様子。

夫「なんで日本人がここにいるの?」
私「旅行者じゃない?観光ガイドに載ってるようなお店じゃないのにね」
夫「変。フィンランド人に連れて来てもらったとかだなきっと」
私「気にするんだ?意外」
夫「だって雰囲気に合わない。子供がいるみたい」

あー!と合点がいくというのはこのことか、と。普段日本人のことをべた褒めし悪くいうことはないのに、夫のその辛口な意見はまさに的を射ていました。
その空間にいる大人たち、シニアやミドル、は、例えば子持ち家庭ならばベビーシッターを誰かにお願いして、子供のいない日常を楽しみに来ているのです。レストランというのはここフィンランドではそういう存在で、女子会する居酒屋でもなければお腹を一杯にするための定食屋でもない、まさに雰囲気と美食の両方を楽しむための場所。私たちが行ったレストランは、私たちが行けるぐらいなので決して超高級ではないけれど、そういう暗黙のルールは最低限敷かれているような場所でした。つまりみんなで大人を楽しみましょう、というお約束のもと、もちろん客同士がお互い干渉し合うわけじゃないけれど、逆に他のテーブルに不快感を与えず、お店側の作る雰囲気を壊さないのがマナーです。
そこへ夫の「日本人=子供みたい」発言。腑に落ちつつも、じゃあ日本人妻を娶ったアンタはどうなんだとツッコミたくなったので、まあそこはもちろん突っ込んでおきました。

私「ここにも日本人いますけど」
夫「いや、違うでしょ、種類が」
私「どこが?」
夫「じゃああんな風にしゃべれる?」
私「…すみませんできません」
夫「ほら(ドヤ顔)」

そういえば私の日本人の男友達兼悪友が常々言うところによると「お前が普通の女の子みたいに待ち合わせ場所で俺を見つけた途端『あー!〇〇さぁん!』って言って笑顔で両手振ることできたらブランド物でもなんでも買ってやるよ」だそうで、そう言われてでも私にはそんな真似大抵できないです。

夫「なんで日本人の『女の子』はあれができるの?」
私「雑誌とか安っぽい記事でそうするように勧められてるからでしょ。馬鹿になれ、『えー知らぁない』って言え、って」

とはいえ件の女性は20代半ばか後半。旅行に行くのもお食事に行くのも自由なはずの年齢で、そこは他人の私がとやかく言う筋合いはまったくないけれど、自由だからこそお店選びをしっかりしてほしかったなぁと少し残念に思いました。
もしかしたら彼女はお友達に連れて来てもらっただけで、お友達はどんなお店だかちゃんと伝えておらず、彼女自身が入店した時点で「あーしまった、思っていたより敷居高い」と思った可能性も考えられるけれど、それならそれでせめて背筋を伸ばして、他人をじろじろ、おどおど見ることなく自身のお食事を楽しんでほしい。もっと掘り下げて考えると、「各テーブルにキャンドルが灯った予約必須の素敵なお店」なんてものは日本にはありふれているので、旅行者の彼女はそんなお店との違いを把握できなかったのかもなぁ、それはそれでまあしょうがないかな、とも思いました。
ということでなんのオチもないもやっとした話。

ちなみに後日もう一軒別の、超老舗レストランに連れて行ってもらったら、そちらはさすがというかなんというか、お食事もサービスも店内の様子も全てが素晴らしくてびっくり、アラカルトで最初は予定していなかったデザートまで追加注文して美味しくいただきました。湖畔のレストランも素敵だったけれど、そして老舗の方は結婚のお祝いに頂いたお食事券のおかげで行けたんだけど、もしかしたら私たちの方が最初から選ぶレストランを間違えていたのかもしれません。というのも、最初から湖畔のレストランが超カジュアル路線でたまたま私たちが行った日は落ち着いた客層の中に若い元気な子が混じってた、って可能性も1%ぐらい有り得るので。こればっかりはもう一回行かないと分からない、というわけで夫のおもてなしに期待してます。